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不妊相談 (最近は生殖医療と呼びます)

 不妊症は「妊娠を望む健康な男女が避妊せずに性交しているにもかかわらず、 一定期間妊娠しない状態」と定義されており、その一定期間は「一年間」が一般的です。カップルの約10組に1組かそれ以上が不妊症で悩んでいると推測され、その原因は男性側と女性側で半々です。 そこで重要なのは、これを夫婦の問題として二人で取り組み、お互いを思いやる姿勢です。
 それではすぐにでも子供がほしくても一年間待たなければ不妊症の検査や治療はできないのでしょうか? 必ずしもそうではありません。基礎体温がバラバラで月経不順で悩んでいた、などの妊娠しにくい要因がわかっていたり、ご夫婦ともに高齢で加齢による妊娠率低下を不安に思われていたりなどすると、一定期間を待たずに検査や治療に踏み切る方が得策である場合もあるのです。


診療の流れ

1. 不妊症カウンセリング(初診)

 不妊症または不妊症の可能性を心配されて当クリニックを初診される場合には、できるだけご夫婦でご来院ください。どんなからくりで妊娠が成立するのか(妊娠に必要な要素は何か)というガイダンスだけでなく、お二人の職業・生活環境・これまでの経過や今後の検査や治療にかけるそれぞれのお気持ちをみんなで共有して診療を進めます。
※カップルのご事情で、女性だけで悩まれている・まずは女性側だけで考えたい場合などでも、ぜひご相談ください。


2. 不妊症ドック

 不妊症の6大検査を軸に、子宮頸がん検診・頸管粘液クラミジア検査・クラミジア抗体検査・耐糖能検査・卵巣予備能検査などを組み合わせた不妊症ドックをお勧めします。
※症状や検査内容によって自費診療と保険診療を使い分けます。

1)基礎体温(BBT)測定(基礎体温表を差し上げます
婦人科体温計という特殊な体温計で起床後すぐの体温を測定して基礎体温表にプロットし、直線でつないでグラフ化します。治療はこの基礎体温表をもとに進められます。
※最近では測定値が内部メモリーに記録されるデジタル婦人科体温計が多いですが、数値だけではわかりにくいため、基礎体温表にグラフ化してご持参ください。

2)ホルモン値測定
視床下部・脳下垂体・甲状腺・卵巣から分泌される各種ホルモンのバランスが、妊娠成立に関わっています。生理周期の各時期や測定条件でホルモン値は変化します。

 a)生理3日目(2~7日目):エストラジオール(E2)、卵胞刺激ホルモン (FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン(PRL)、甲状腺刺激ホルモン (TSH)、甲状腺ホルモン(FT4)

 b)黄体中期(基礎体温上昇後4~7日目):プロゲステロン(P4)
 ※ほか必要に応じてホルモン負荷試験(LHRHテスト・TRHテスト)やテストステロン(T)の測定を追加します。

3)経腟超音波検査
超音波像によって子宮・卵巣・卵管の形態異常がないかを評価します。また各生理周期で排卵する卵胞の発育をモニターします。基礎体温表を参考に、妊娠する可能性の高い時期を推測して必要に応じて排卵促進剤を注射するタイミング法で必須の検査であり、不妊治療で最も繰り返し検査を要するのが経腟超音波検査です。

4)子宮卵管造影検査
子宮口から造影剤を注入して複数回レントゲン写真を撮影します。子宮内部の形態の異常がないか(子宮奇形・子宮筋腫・内膜ポリープや癒着など)や両側の卵管が通っているか(狭窄・閉塞・卵管留水症や癒着など)を調べます。頸管粘液クラミジア検査が陽性の場合には治癒後に行います。

5)性交後試験(フーナーテスト)
排卵時期の朝に性交した後にご来院いただき、子宮頸管粘液を採取してその中の総精子数と総運動率を調べる検査です(他の検査結果により省略する場合があります)。

6)精液検査
男性因子として精液量と総精子数・精子濃度・総運動率・前進運動率・精子生存率・正常形態率などを評価します。2日以上禁欲してマスターベーションにより精液を採取し(専用容器をお渡しします)、射精後1~2時間以内に当クリニックにお持ちください。精液の性状の変動は大きいため、複数回検査する場合もあります。


3. 不妊治療計画立案

 全ての検査結果を総合し、ご夫婦に最も適した治療プランをご提案します。当クリニックでは一般生殖医療(漢方療法・排卵誘発剤・排卵促進剤・タイミング法・黄体補充療法・ 配偶者間人工授精など)を取り扱っているため、手術や体外受精以上の治療を要する場合には不妊治療専門施設や総合病院をご紹介します。



不育症

 不育症は「2回以上の流産・死産・生後1週間以内の新生児死亡を繰り返した状態」で、必ずしもその流産や死産が連続している必要はありません。厚生労働省研究班の報告ではカップルの約16組に1組が不育症で悩んでいると推測され、当クリニックの試算では熊本市で年間200組のカップルが新たに不育症と診断されると考えられます。
 流産の頻度は高く、全妊娠の約15%は流産です妊娠を経験した女性の約40%が1回以上の流産も経験します)。反復流産(2回連続)の頻度は約4%、習慣流産(3回連続)の頻度は約1%です。一方で流産が偶然2回(3回)連続する確率は、15%の累乗で単純計算すると2.3%(0.3%)ですから、実際の頻度を下回っています。
 つまり連続流産する原因として流産の偶然的な繰り返し以外の原因や異常がある=不育症では「何らかの流産しやすい要因がある可能性」があるのです。
 流産の最も多い原因はお子さまの染色体疾患で、その頻度は50~70%です。(反復流産の原因の50%もお子さまの染色体疾患の連続です。)女性の加齢はお子さまの染色体疾患の最も重要な危険因子です。卵の染色体不分離が増加し、受精卵の染色体疾患の発生率が増加するため、40歳(42歳)の女性の流産率は40%(50%)に上昇します。


診療の流れ

1. 不育症カウンセリング(初診)(※要予約)

 不育症または不育症の可能性を心配されて当クリニックを初診される場合には、できるだけご夫婦でご来院ください。不育症の原因にどんなものが多いのか、不育症の治療はどういうものか、というガイダンスだけでなく、お二人の職業・生活環境・これまでの経過や今後の検査や治療にかけるそれぞれのお気持ちをみんなで共有して診療を進めます。
※カップルのご事情で、女性だけで悩まれている・まずは女性側だけで考えたい場合などでも、ぜひご相談ください。


2. 不育症ドック

 抗リン脂質抗体検査・子宮形態評価・内分泌系検査・血栓素因検査・流死産絨毛・胎児組織染色体検査・夫婦染色体検査の6大検査による不育症ドックをお勧めします。
※症状や検査内容によって自費診療と保険診療を使い分けます。

1)抗リン脂質抗体検査
ループスアンチコアグラント(LAC)・抗カルジオリピン(CL)抗体IgM/IgG・抗カルジオリピン(CL)β2GP1抗体・抗フォスファチジルエタノールアミン(PE)抗体IgM/IgGなどを測定します。抗リン脂質抗体検査では偽陽性が多いため、陽性の場合には12週間以上あけて再検査します。

2)子宮形態評価
子宮奇形は妊娠中期以降の流産原因に多く、泌尿器異常や感音性難聴を合併する場合があります。経腟超音波検査や子宮卵管造影検査によってその有無を評価します。

3)内分泌系検査
各種ホルモン値(プロゲステロン・甲状腺ホルモン・プロラクチン)や耐糖能(空腹時血糖値・HbA1c)を評価します。

4)血栓素因検査
プロトロンビン時間・活性化部分トロンボプラスチン時間・プロテインC・プロテインS・アンチトロンビンⅢ・血液凝固第Ⅻ因子活性などを検査します。

5)流死産絨毛・胎児組織染色体検査
新たに流産や死産した場合に妊娠組織の染色体検査を実施し、その検査結果(正常核型・数的異常・不均衡型相互転座)によって追加検査を検討します。

6)夫婦染色体検査
夫婦いずれかの均衡型相互転座が予測される場合などで、慎重な遺伝カウンセリングの下で夫婦同時の染色体検査実施を検討します。(ご夫婦の同意が必要です。)


3. 管理計画立案

 全ての検査結果を総合し、ご夫婦に最も適した治療プランをご提案します。原因が判明した場合にはその原因に応じた管理や治療を、原因が不明の場合には治療せず経過観察をお勧めします。不育症の50%以上は原因不明であり、それでも2回流産後の妊娠で80%、3回で70%、4回で60%、5回で50%の確率で次回妊娠の継続が可能とされます。
 不育症の専門外来で検査や治療をしたご夫婦の85%が出産できると報告されています。もし今までに誰にも相談できずに悩まれてきたのであれば、ぜひ私たちにご相談ください。


《パートナー・ご家族のみなさま・ご友人のみなさまへお願い》
 不育症と診断された女性の40%は何らかの強い「こころのストレス」を抱えています。これまでの悲しい出来事で引き起こされた不安・憂うつ・拒絶・怒り・喪失感や夫婦関係の不和などが次回の妊娠に悪影響を与える可能性があります。彼女の言葉に耳を傾け、そのおつらい気持ちをご理解いただけるようお願い申し上げます。